TVCMでもすっかりおなじみになってきた格安SIM。とはいえ、三大キャリアでスマホを使っている人にはまだまだ乗り換えに踏み切れない要因があることも確か。
そしてその要因は決して消えることが無い大きな障害となっている…と、思われている。
それはスピード。通信速度至上主義とも言いましょうか、とにかく通信速度が欲しい、そして速度計測を図ることが目的になってしまう。
しかし格安SIMを選ぶ上で重要なのは、もっと別な見えにくいところにあるものです。
ポイント1 〜安定供給〜
三大キャリア信頼の根拠は、通信インフラを自社で所有管理している点。同時にそれを理由の一つとして契約内容が割高なものになっています。
そして格安SIM、格安スマホ各社が信頼できない理由もまさにそれで、自社で通信インフラを持っていないという点にあります。自社で通信設備を持っていなければ、安定供給が見込めない、と思われても無理はありません。
しかしよく考えてみて下さい。例えばdocomoがエンドユーザーには回線を安定供給できているとしましょう。では各企業(MVNOと言われる格安SIM会社)に対しては安定供給ができていないのでしょうか。そんなはずはありません。問題は供給する側ではなく、される側の回線管理にあるのです。
徹底したトラフィック管理のIIjmio
先日IIjmio本社で説明を受けた内容で、昼12時~13時の間が最も混み合うピーク時で、そこの対応が課題だと言っていました。その為IIjmioでは通常MVNOが行う増設のスパンよりもこまめにチェックを行い、回線利用契約の見直し、増強を少しずつ、細やかに行っているそうです。
大雑把に、長~いスパンで増強を行うMVNOの場合は、混み合う時、一気に空いて回線が速くなる時のムラが大きくなり、そのことが良くも悪くも話題の一つにもなるということのようです。
よって安定供給ができ、不満がでるほど遅くない代わりに、話題になるほど速くもない、というさじ加減の回線をキープできている目立たないところが実は安定供給されている証でもあり、気づきにくい事実なのです。
ポイント2 〜災害時を想定したインフラ設備保持〜
これはまだ誰も体験できていないポイントの1つ。でもとても良い気になるポイントの1つ。
MVNO(キャリアから回線借り受け利用している会社)であると同時にMVNE(キャリアからの回線供給を管理し、提供する会社)であるIIjmio。
受け取る側であると同時に送り出す側でもある会社であることは、他のMVNOインフラ設備の様子、規模などを少なからず知っているという状況であろうことは容易に想像できます。
IIJmioでは災害時対策として、日本を大きく東西に分け、2つの拠点にインフラを持っているということ。これは当然一つにインフラ設備よりも維持費がかかり、多くのMVNOでは取り入れることをしていない事実を知っています。そのことはIIJmio本社での説明会に参加した際にスライドを使って詳しく説明してくれました。しかしこれは実際に災害が起きたときでないと確認できないので、普段の生活ではそのメリットを享受することは出来ません。
しかし、ある日突然起こるかもしれない大災害のとき、自分の通信端末が単に金額が安かったからとか、ポイントが沢山つくからといった基準だけで選んでいた格安SIMに変えたせいで繋がらなかったとしたら…。
IIJmioは知る人ぞ知る、というスタンスで以前から通信を専業としてきた企業。通信品質を維持することが他のMVNOとは一線を画することも容易に想像できます。
TVCMや各種のメディアに大々的な広告を打つMVNOをよそに、その経費を出来る限りインフラ品質維持に割り当てているからこそ、業界2位の回線保有数を誇る100万回線以上の格安SIMユーザーから支持されているのでしょう。
まとめと感想
すでに600社以上が乱立していると言われる格安SIM会社。
先日フリーテルが楽天モバイルに買収されるという事があったように、これからますます統廃合が起きてくることも想像に難くありません。
値段はどこもそう変わらず、付加サービスの内容も会社独自の色を出して差別化しているものの、それらサービスは通信品質には何ら関係がなく、どこも同じように価格競争だけが表面化している格安SIM、格安スマホ各社。
今回まとめた記事のように、普段は感じることが出来ない、見えてこない通信インフラへの細かな配慮が実は大きな違いとなって今後表面化してくるのではないかと思っています。
そこを見極めることができなかったり、まだ格安SIMへの不安が払拭できないようであれば、高い料金を払い続けてでもそのままdocomo、au、SoftBankの三大キャリアへ踏みとどまるほうが正解なのかもしれません。